レポート | 投稿日: 2017.03.31

3月2日(木)・3日(金) 宮城県で「海岸林再生ワークショップ2017~海岸防災林再生活動の輪を広げよう~」を開催しました

国や県の盛土工事などが終了した箇所において海岸防災林の再生に公募した団体などを対象に、植栽現場等の視察と専門家による講話、参加団体の発表交流などを実施しました。

 

平成25年春から国有林において逐次公募方式による植栽等再生活動が開始され、その後、宮城県、福島県等においても公募などによる国民参加の活動が広がっています。
こうした民間の取組を通じて蓄積された現地の多様な植栽保育方法の状況や再生活動を通じて獲得した知見を基に、これまで海岸防災林再生植樹活動に参加した活動団体と今後植栽活動に入る団体等が一堂に会し、現地視察や研修を通じて植栽基盤等の状況と植樹方法、植栽地の基盤土の状況、保育・生育状況や問題事項を検証し、こうした諸課題への対応方法や今後に向けての民間参画活動の課題や対応について専門家を交えて論議し、今後の取組に役立てていくことを目的にワークショップ2017を開催しました。さらに、参加者の情報発信、情報交換及び交流促進等を通じ、相互の連携・協働化の輪を広げていく場になることも期待されています。

1日目 現地研修会

3月2日(木)12時に仙台駅に集合し、バス2台60名の参加者を乗せ出発しました。
昨年、一昨年と仙台市から南のエリアを見学していましたが、今回は東松島市大曲地区植樹地(国有林、県有林)、同市浜市地区植樹地(国有林)を見学しました。クロマツや広葉樹等の植栽木の生育状況や施肥の効果、クズ等雑植物の侵入状況を確認し、参加者が他の団体の植栽、保育の状況や試行錯誤した工夫を読み取っていくことを期待するものです。

現地見学に当たり、車中にて見学箇所ごとの見学のポイントなど示した資料を配布しました。

①東松島市大曲地区の見学箇所は、平成26年から公募等による植栽が実施されました。ツバキ、シラカシ、コナラなど広葉樹が植えてあったが、上部の葉が枯れているもの、完全に枯損しているものも散見されました。また2年前の植栽したクロマツが1年前のものと比べ葉の色合いが薄く元気がない感じがしましたが専門家のよれば、根が張り出してこれば問題ないと思うとのことでした。
また、県の工事箇所は、海岸に面して防潮堤傍に位置しています。宮城県担当官は民間団体参画の協定対象地として検討していきたいとのことでした。植栽は適切な対応が求められ、経験のある団体などの腕の見せどころでもあります。

東松島市大曲地区植樹地(国有林)の 見学 宮城北部森林管理署相澤署長から図面により説明を受けているところです

東松島市大曲地区植樹地(国有林)の 見学
宮城北部森林管理署相澤署長から図面により説明を受けているところです

 

東松島市大曲地区植樹地(民有林)の 見学。 すぐそばに防潮堤があります

東松島市大曲地区植樹地(民有林)の 見学。
すぐそばに防潮堤があります

 

植栽木の生育状況を確認する参加者の皆さん

植栽木の生育状況を確認する参加者の皆さん(浜市地区植栽地(国有林)

 

東松島市浜市地区植樹地は平成27年の公募地です。海岸林の幅が広く、見学したところは海岸から数百m離れていましたが、広葉樹で一部枯損も見られました。聞いたところでは、昨年夏の晴天続きにより枯れたものがあったとのことでした。

その後仙台市の荒浜国有林に行きました。この箇所は公募による再生プロジェクトがスタートした場所です。広葉樹含め多様な植栽方法が採用されています。大苗の植栽マツの中には、2m近くまで伸び旺盛な発育を示しているものもありました。多くのことを学べとりことができる現場だと思います。

 

仙台森林管理署斉藤署長や村上室長から説明などしていただきました

仙台森林管理署斉藤署長や村上室長から説明などしていただきました(荒浜国有林)

 

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最後に荒浜の近くにある今年度の協定地を見てから仙台に戻り解散となりました。

2日目 仙台市内の会場にて開催

まず、主催者を代表して国土緑化推進機構 梶谷辰哉専務理事から「植栽事業が本格化しているものと思います。再生活動の取組を長い期間継続する上で、都市部の企業NPO等と東北地域のNPO、被災地域の組織等との協働連携や、都市部の企業等の要望の把握とそれへの対応などが重要になると思います。こうした協働化・マッチングの取組を国土緑化推進機構としても積極的に取組んできたところです。このワークショップが皆様の共通認識の醸成、相互の連携・協働化に役立てていたただければ思います。」旨開会の挨拶がありました。

開会の挨拶をする梶谷専務

開会の挨拶をする梶谷専務

 

講話

昨年に引き続き、日本海岸林学会編集委員 国土防災技術株式会社 佐藤亜貴夫 氏から「現場から学ぶ技術的課題と対応、魅力ある海岸林づくりの提案~民間参加ゆえの海岸林の夢を語る~」をテーマに、現地の実態を踏まえ、技術的課題とその対応方法等や魅力ある海岸林づくりに向けての示唆富む内容でした。また、佐藤氏の恩師の言葉として、「海岸林には枝葉末節が大切である。」という言葉を引用して、佐藤氏は「本質は海岸防災林を育てること、枝葉末節とは除去したツルでリースをつくるとか、生態観察をするとか、海岸にて楽しみを見つけるとかで継続力の源泉になる取組」を意味しこれも大切であると強調していました。

佐藤氏からは国土緑化推進機構の要望を踏まえつつ、解り易い講話をしていただきました

佐藤氏からは国土緑化推進機構の要望を踏まえつつ、解り易い講話をしていただきました

 

その後、国土緑化推進機構担当者から「民間団体の活動の紹介と現場を見て感じたこと」をテーマに、①企業などを回ってみて、震災から6年近くたち、海岸林再生と言ってもなぜいまさらと言う感じであること、②企業等の疑問に答え、企業の関心を高めるために企業向け冊子を作成したこと、③植栽地の様々な問題を踏まえて「海岸林再生実践マニュアル」を作成中であることなどを報告しました。

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分科会

下の5つのテーマに分かれて意見交換実施しました。

テーマ① 海岸林植樹の技術的課題
テーマ② 保育、管理の課題
テーマ③ 都市部企業、被災地域の民間団体間の連携強化の課題と推進方策
テーマ④ 協働による啓発の方策
テーマ⑤ 民間参画を促進するための方策、改善点

パーテーションにより区画して意見交換を実施しました

パーテーションにより区画して意見交換を実施しました

 

テーマ① 海岸林植樹の技術的課題の分科会 ここでは、盛土土が固い水はけが悪いことの対応、アカマツや広葉樹の生育状況など問題点などについて意見交換がなされた

テーマ① 海岸林植樹の技術的課題の分科会
ここでは、盛土土が固い水はけが悪いことの対応、アカマツや広葉樹の生育状況など問題点などについて意見交換がなされた

分科会まとめ及び質疑応答

分科会のコメンテーター5名が登壇し、宮城県森林インストラクター協会木村氏の司会で、分科会報告と対応等についてのコメントを発表しました。
いくつか紹介しますと、①クズ、ニセアカシヤの侵入激しく対策に苦慮、②水はけ悪かったが排水溝を掘って大幅に改善、③粘土、マサ土壌の固い土との格闘の苦労話、④資金の出し手側からは、何に使い、どのような効果があったか等を計画段階から実施までできるパートナーが必要。また出し手に喜んでもらえる工夫(気の利いた看板、子どもたちが楽しく植樹するための工夫)などの提案、⑤被災した地元住民の参画を得るのに苦労しながらも努力している例、⑥羅病した苗木を使用することへの注意喚起等多岐にわたる発表でした。

 

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また、仙台市役所から参加した担当者は、今後海岸部の公園と併せて仙台市所有の海岸林防災林の再生に向け、地元の民間団体の連絡協議会と連携して進めていきたい旨の発言があり、心強い新たな仲間が増えました。

仙台市担当官から今後の海岸防災林や海岸公園エリアの取組について

仙台市担当官から今後の海岸防災林や海岸公園エリアの取組について

 

なお会場には、東北森林管理局、関東森林管理局から担当課長及び担当官、関係森林管理署、宮城県の担当官、岩手県、宮城県、福島県の緑化推進委員会等の担当者も参加いただき意見交換等にも積極的に会を盛り上げてくれました。また、本年もワークショップの運営等に宮城県森林インストラクター協会の協力をいただきました。

国の海岸防災林再生支援の予算は28年度で終了しましたが、海岸林再生の活動の輪を広げていくため、微力でありますが国土緑化推進機構として取組を検討していく所存です。