レポート | 投稿日: 2016.11.14

東北復興 企業・NPO等 参加による海岸防災林再生活動説明会2016を10月24日(月)に開催しました

説明会の目的

宮城県、福島県等において、民間団体が主体となった海岸林植栽活動が進んでいます。植栽に向けた生育基盤盛土工事の進捗等を踏まえながら、民間団体の協力を得つつ、海岸防災林の再生を進めることとされています。
国及び県の今年度の公募箇所等が公告されたことに合わせて、国有林、民有林における海岸林の復興の状況及び民間参画による植栽・保育等活動の枠組みや公募のスケジュールの周知、参加者間の情報交換等を目的とした説明会及びポスター・パネル展を実施しました。

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まず、主催者を代表して国土緑化推進機構・梶谷辰哉専務理事から「東北復興への関心が薄れつつあると言われている中で、多くの方々が参加していただいたことの御礼と、今後植栽が本格化する中で、都市部団体と地元被災地のNPO等との協働による海岸林再生活動の一層の推進をお願いしたい」と挨拶しました。

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続いて、林野庁 森林利用課 山村振興・緑化推進室長 今泉裕治氏から来賓挨拶をいただきました。この中で、「東日本大震災から5年半が経過し、政府は今年度から復興・創生期間と位置付け、被災地の自立につなげる新たなステージに入りました。この説明会などに参加いただいたNPO、企業等の協力を得ながら地元被災地の皆さんも自ら植え、保育管理にも係わっていく取組につながっていくことが大切である」との挨拶がありました。

第1部 基調講演

東京都市大学副学長、日本海岸林学会会長・吉崎真司氏から「海岸防災林の再生活動に参加するに当たって知っておきたいこと ~市民参加の重要性~」と題して、

  • 海岸林の造成の歴史と先人が用いた技術・工夫
  • 海岸林の機能役割
  • 津波による被害の分析
  • 再生に当たって将来の海岸林の姿を考えることの必要性、クロマツ、広葉樹をどう考えるか
  • 地元の人が海岸林と関わりを維持し又は創出することの重要性

など多様なテーマに及ぶ講演をいただきました。

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この中で、

  1. 先人は広葉樹も植栽し、失敗する中で結果としてマツを選択したと思っている。過去の造成の方法を調べ、そこから学ぶことも大切。また、津波による激害受けた広葉樹主体の海岸林が少ないので、マツと広葉樹の比較検討も難しい。シャリンバイ、トベラ等も塩害でマツと同じように被害を受けていた。
  2. 岩手県陸前高田市の防潮林は防潮堤とセットで防潮機能が高いとされてきたが、壊滅的な被害を受けたこと、野田村の防潮林は、根がよく張り津波に抵抗し、力尽きて幹折れしたが、それが住宅などに漂流し建物被害を与えたと地域の方に言われたこと。
  3. 静岡遠州灘では、海岸林、農地、住宅が同じ持ち主で、農地等の保全のために持ち主が海岸林を手入れし防潮機能効果の高い森林を守ってきたが、耕作放棄された事例をみると、海岸林も手入れされず劣化していた。このことからも地元と海岸林との係わりを如何に保つかが重要である。例えば、キノコやウルシの採取、憩の森などで地元との係わりを如何に創出するか。
  4. 海岸林を造成して後背箇所にある何を守るのか、保全対象を明確にし、どのような海岸林を将来仕立てていくか。ケースによって広葉樹混交の姿も含めた目標樹林(林型)を示していくことも大切。
  5. 中国の砂漠緑化に長期間係わってきたが、その経験から言うと、地元のリーダーが育ったプロジェクトは活動も長く継続し成果も上がった。海岸林再生の場合も同様のことが言えると思うので地域の担い手を育てることも重要。

など示唆に富む話が多くありました。

第2部 説明会

「民間参画による海岸防災林再生復興の概要説明」と題して、国土緑化推進機構 荒井より、

  • 復興状況
  • 海岸林再生への民間参加の状況
  • 東日本大震災から5年余が過ぎたこと
  • 植栽保育箇所の生育等状況を踏まえての海岸林再生の課題等

について概要説明をしました。

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「海岸林再生活動に初めて参加して~参加の経緯から植樹まで~」と題して、NPO法人DO55 理事・白倉利男氏から、除染活動から海岸林植栽に至る経緯や活動状況について説明がありました。

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DO55は、大学のサークル仲間が中心になって震災復興支援を目的に結成し(Dは団塊世代、O55はOVER55で55歳以上の意味)、除染活動の場が狭まってきたことなどから初めての植樹にチャレンジしたもので、勉強しながら試行錯誤で準備を進め、今年春に実施した福島県相馬市内の植樹式には、地元の小、中、高、大学生と早大ボランティア含め70余名の大勢の参加を得て、楽しく交流しながら800本のクロマツの植栽を終え、充実した日を送ることができたとの報告がありました。

 

「国有林における協定方式による海岸防災林再生活動への参加団体募集について」と題して、林野庁 経営企画課 課長補佐・山之内留美子氏から、国有林が進める企業等の森林づくりの全体的な仕組みと、海岸林再生に係る協定方式による公募の仕組み、今年度に実施する宮城県仙台市及び福島県相馬市の公募箇所の説明がありました。

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仙台市の箇所は、汀線から少し難れていること等から広葉樹植栽が可能であるが、福島県相馬市の箇所は海岸に近く、地形条件などから植栽木をマツとしているとのことでした。

 

「福島県における海岸防災林の復旧・復興に向けた取り組みについて」と題して、福島県 農林水産部 森林保全課長 渡部 茂 氏より、福島県内民有林の復興状況について詳しい説明がありました。

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200m幅の海岸防災林を造成すべく 用地の取得を進めつつ、また、原子力発電所の事故の影響にも配慮をしつつ、盛土工事等に鋭意取り組んでいる状況で、全体の植栽面積688haに対し、28年度末までの植栽面積見込みは67ha、植栽進捗率は10%とのことで、これから植栽の本番を迎えるとのことでした。相馬市磯部の公募箇所等についてはHPで閲覧し、応募くださるようにとの要望がありました。最後に、平成30年春に南相馬市で開催予定の全国植樹祭の紹介をして終わりました。

 

「都市部企業・NPO等をサポートする地元団体の活動紹介」と題して、NPO法人宮城県森林インストラクター協会 企画部長 木村健太郎氏から、宮城県内で都市部の企業、公益法人等と協働して再生活動に取組むNPO活動状況について説明がありました。

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この中で、協会の基本方針として、多くの方に森づくり・自然体験を楽しんでもらうこと、海岸林再生はより確実に育つ方法で植え、末永く見守っていくとのことことでした。さらに、海岸林再生の重要性についての普及啓発及び環境教育などに力を入れ、次世代を担う子どもたちの植樹活動や海岸林を楽しく学ぶ事例紹介などがありました。植栽地の今後の課題として、ニセアカシア等の侵入、クロマツの過密化などを挙げていました。

ポスター展示等

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休憩時間や説明会終了後の時間を利用してポスター展示など見ながら、参加者間で情報・意見交換も盛んに行われていました。
この中で参加者間の協働、マッチングに係わる話もあり、協定への参加、植樹等海岸林再生に繋がる動きも出てきました。
東北復興を取り巻く環境は厳しいものがありますが、息の長い取組を継続し或いは新たに参加されることをお願いする次第です。