NPOレポート | 投稿日: 2015.12.08

NPO活動レポート 第2回 「みどり十字軍」

特定非営利活動法人「みどり十字軍」の活動の歴史

宮城県「県民の森」などで一緒に森林作業活動している参加者が、次第に森林の持つ役割の重要性の理解が深まり、ふるさとの自然環境を大切に守り育てる意識が醸成され森林の魅力を強く感じようになってきました。そこで、森林を少しでもよい状態で後世に残したいとの願いから、平成7年に「県民の森」の地で「みどり十字軍」を結成しました。「十字軍」と聞くと、中世ヨーロッパの十字軍を思い浮かべると思いますが、みんなで力を合わせて“みどり”を守り育てたいとの固い団結を示す意味から、「みどり十字軍」とネーミングされました。
平成15年1月16日には、特定非営利活動法人に認定されました。定款の設立目的には、以下のように自分たちの思いを記載しました。「この法人は、森林・林業の作業体験を通じて、ふるさとの自然を守り育てることの大切さや自然を相手とする林業について理解を深めるとともに、自発的、継続的に森林づくりを行うことにより、私たちの生活に限りない恵みを与えてくれる、みどり豊かな森林を守り育て、自然環境の保全に寄与することを目的とする」。現在の会員は23名で退職者が中心です。
事務局の安部豊さんに、日頃の活動についてお話を聞きしました。まず活動理念としては、
(1)森林ボランティアとしての技術の向上と正しい知識を得ることが必要。
(2)行政との協力、ボランティア団体同士の協働作業を図り、信頼関係を築く。
(3)責任、目的、規範、理念、企画を持って行動する。
(4)森林整備、各種研修会等、多様なニーズに対応できるよう努める。
(5)県民との交流を図る。
を掲げ活動しています。

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主な活動

1.公園整備と森林学習会

①平成15年より、仙台市「水の森公園」*1)キャンプ場で、仙台市関係行政部門及び(公財)仙台市公園緑地協会と協議しながら“「森」の学習室”を開催しています。具体には、月2回(原則土曜日又は日曜日)、親子を対象に、植物観察、昆虫観察、野鳥観察、天体観察等のコースについて季節の変化を踏まえつつ観察内容を決めます。また、自然素材を使った工作(ネイチャークラフト)が行われる時もあります。特に夏休みに開催する昆虫を主体とした生き物観察は、大勢の子どもたちで賑わいます。講師は会員が原則務めますが、外部講師を依頼する場合もあります。
②仙台市内の小学校、幼稚園からの要請で、自然観観察会等の教育支援を行っています。
③仙台文学館の庭園整備(年6回)を行っています。

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*1 「水の森公園」は、仙台市泉区と青葉区にまたがる、総面積103haの森林公園です。昭和30年頃から仙台市郊外の山野は次々に宅地開発化が進みましたが、2つの農業用溜池があったエリアが残され「水の森公園」として整備され、平成15年には公園の北側にキャンプ場も整備されました。園内には散策路が整備され、四季を通じて様々な動植物を観察することができます。みどり十字軍では、自主的に散策路や林内の草刈等の整備を行っています。

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2.森林整備活動面について

①平成9年に、宮城県白石市にある国立南蔵王青少年野営場(現国立花山青少年自然の家南蔵王野営場)で開催された第48回全国植樹祭に参加する機会を得ました。天皇皇后両陛下がブナとオオヤマザクラをお手植えされました。その後も整備作業を毎年1回実施してきました。両陛下は、太平洋戦争の激戦地となったパラオ共和国をご訪問されたことがきっかけとなり、平成27年6月17日に同国とゆかりのある蔵王町の「北原尾(きたはらお)地区*2)」を訪問され、その際に植樹祭が開催された会場も訪問され、18年前に植樹された現地をご視察されました。みどり十字軍で手入れしてきた会場をご視察いただき光栄であり会員一同の励みにもなりました。

*2 北原尾(きたはらお):宮城県南西部の蔵王山の麓に位置し、冬は雪で覆われる。太平洋戦争の激戦地パラオから、戦後、引き揚げた人達が入植した地区。県内有数の酪農地帯として今日に至っており、南洋のパラオを決して忘れることがないように「北パラオ」の意味を込めて、「北原尾」と命名された。

②平成21年11月には、宮城県緑化推進委員会主催の大和町の県有林に造成された「森林ボランティアの森」の植樹に参加しました。この植樹には、みどり十字軍ほか7団体が参加し、約14aにヤマボウシ、カエデ、サクラ等270本を植樹しました。「森林ボランティア」の森の植樹は、他団体とともに数年間作業を継続して実施しました。この活動を通じて他のボランティア団体との交流が深まりました。このほか、企業の森の活動では、大崎市松山の酒造メーカーの敷地内にある森林の整備に協力しています。

3.海岸防災林再生活動では2箇所において植樹等を行いました

①「みどりのきずな」再生プロジェクト
東日本大震災で被災した海岸防災林再生のための植栽は、盛土等して生育基盤を造成した上で順次行いますが、国有林において、生育基盤の造成工事が完了した箇所の一部で、一定期間、協定に基づき継続的に植栽から保育までの森林整備活動等を行う、民間団体等の募集がありました。みどり十字軍では、被災した海岸防災林の早期復興を願い、平成24年11月に公募があった仙台市若林区荒浜の国有林に応募し、仙台森林管理署と協定を締結して植樹を行いました。協定締結面積は、0.11haで、平成25年5月2日に、宮城県緑化推進委員会の助成を受け、アカマツ(2年生苗)100本、クロマツ(5年生苗)400本を植樹しました。植樹後は、年3~4回の生育調査及び除草を行い、現在順調に生育しています。
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この公募箇所に隣接して津波で校舎の2階まで浸水した荒浜小学校校舎があります。東日本大震災時には児童や地域住民300人以上が荒浜小学校校舎屋上に避難して救助されました。仙台市では、荒浜小学校を震災遺構とすることにしました。海岸林が再生され、豊かな緑に戻る姿を震災遺構のこの校舎が見守ってくれていると思うと責任を感じるとともに、力強い応援団がそばにいてくれるような思いもあります。

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②「海岸防災林再生・きずな植樹」
宮城県では、東日本大震災により甚大な被害を受けた海岸防災林の再生を図るため、約500万本以上の苗木が必要とされていますが、県内の苗木生産者だけでは賄うことができず、県内外から多くの支援の手が差し伸べられています。その支援の一つとして、平成25年度に第64回全国植樹祭が開催された鳥取県からは、「とうほくとっとり・森の里親プロジェクト」として、宮城県が提供した種子を鳥取県の小学生等が大切に育てた「里帰り苗木」の贈呈を受けています。また、平成26年度に第65回全国植樹祭が開催された新潟県からは、復興支援として「にいがた千年松」の苗木の贈呈を受けています。宮城県では、被災した海岸防災林の早期再生を図るため、贈呈された苗木を「きずな苗木」として、県内のボランティア団体等との協働で植樹することにしました。みどり十字軍では、この趣旨に賛同して植樹に参加しました。平成27年3月21日、亘理郡亘理町吉田の被災した町有林にて植樹が実施されました。近くには、津波で倒れなかったマツが逞しく、また少し寂しそうに立っていました。きずな苗木は、鳥取県からの里帰り苗木(コナラ、クリ、ケヤキ)900本、新潟県からの「にいがた千年松(抵抗性アカマツ)」1000本、長崎県の個人からの寄贈ツバキ100本でした。鳥取県関係者、鳥取県みどりの少年団、宮城県関係者、亘理町関係者、みどり十字軍他ボランティア団体3団体など約100人が植樹しました。

4.高齢化等課題あるが進み続ける

みどり十字軍は、永年の緑化活動が評価され、平成26年度の東北・北海道地区緑化推進協議会緑化功労者に選ばれました。安部さんからは、会員の高齢化や運営資金の問題があるが、これからも自然保護や森林・林業の発展、海岸防災林の早期復興に積極的に取組んでいきたいとの言葉がありました。

安部 豊さん
昭和10年生まれ、宮城県名取市在住。みどり十字軍副理事長。