レポート | 投稿日: 2015.03.23

3月15日(日)国連防災世界会議 パブリック・フォーラム において、「海岸防災林再生に関するシンポジウム ~学び育てよう 財産と命を守る海岸防災林~」を開催しました。

3月15日、第3回国連防災世界会議の関連事業 パブリック・フォーラムとして、 TKPガーデンシティ仙台勾当台にて開催しました。会場の都合上100名余を予定しましたが、大勢の方のご参加があって、急遽椅子だけを並べて対応するほどの盛況ぶりでした。

国土緑化推進機構梶谷専務の挨拶後、名取市長の佐々木一十郎氏による「名取市の復興状況と将来展望」について基調講演が行われました。

佐々木市長は震災以降、街の復興に向けての最高責任者として、被災直後の避難場所での被災者支援、仮設住宅建設対応などの苦労や問題点、更に市の北東部の沿岸にある閖上(ゆりあげ)地区の復興を巡る防災集団移転促進事業と被災市街地復興土地区画整理事業の実質補助等の大きな差異や厳格な補助基準等によって、市の構想の実現に大きな制約となっていること、これに加え被災住民の多様な意見の調整集約の難しさなどについて、臨場感の溢れるものの冷静かつ広い視野からの講演でした。最後に海岸林再生に向けオイスカが中心になって、国や県などの支援を頼らずに名取市の海岸林再生に取組んでいることを高く評価して締めくくりました。

休憩を挟んで、4団体から、今後の海岸防災林の早期再生及び維持管理に関する課題、改善方策の観点から報告がなされました。

林野庁 東北森林管理局 計画保全部長 関口 高士 氏からは、「海岸防災林の再生・機能強化に向けた取組状況について」と題し、海岸林植栽に当たってのクロマツ等樹種の特性、津波堆積物など活用した盛土工事(基盤整備盛土)の工事内容とその効果、工事の実施に当たっての生物多様性への配慮、実証試験などについて報告がなされました。

万里の松原に親しむ会 会長 三沢英一氏からは、山形庄内平野の海岸林の重要性、海岸林を活用した子ども向けの自然観察体験学習、行政機関、他のNPO等との交流連携の取組の紹介、さらには震災後の宮城県荒浜での海岸林再生活動への参加の経過報告がなされましたが、震災当時、何か支援したいとの強い想いを抱きつつも、被災地に迷惑をかけてもいけないとの思慮深い対応ぶりが心に残りました。

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名取市海岸林再生の会 事務局長 佐々木廣一氏からは、名取市におけるオイスカ海岸林再生プロジェクトの計画概要の説明がなされました。

具体的には約100haの海岸林を対象にし、苗木50万本生産(被災住民の農業技術を生かして育苗の担い手とすること)とし、育苗から植林そして育林まで一貫支援すること、期間は10年間を想定し資金規模は10億円とのことでした。

地元名取市海岸林再生の会が苗木生産の担い手などになり、市民などの参加による育苗地の雑草取り、海岸林の植栽などの紹介もありました。また、広く企業、市民などの皆様から資金をいただいて事業展開しているので、事業の効率効果は重要で、発芽率や植栽後の活着率など具体の数値を挙げて説明があったのが印象的でした。

高田松原を守る会 会長 鈴木善久氏からは、震災前の名勝高田松原の保全活動(松食い虫防除、松葉掻き、清掃)、震災後は高田松原の再生を目指し先ず苗木作りなどの取組が紹介され、今後は、県が防潮堤の海岸側の第1線堤と陸側の第2線堤の間に地盤工事を実施し、箇所の一部について、他団体の支援を受けて植栽を進めていく計画があるとの紹介がなされました。

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活動報告を受けて、梶谷専務のコーディネートの下に4名の報告者によるパネルディスカッションを行いました。内容としては、改めて海岸林が人々の生活に果たしている役割を考え、これをいかに再生し、守り育て、次世代につないでいくか、このための協力体制をいかに構築していくかなどについて意見交換がなされました。

パネラーからは、「海岸林の役割について、海岸林のおかげで津波の到達が遅れたことによって助かった人もいた。津波により海岸林がなくなって、やませ風が強くなったことで、改めて海岸林の大切さを痛感した。海岸林の荒廃によって、家屋や農地に飛来する飛砂量が多くなった。」
また、「海岸林の再生などには時間を要するので、子供たちを現地に呼び込み海岸林の重要性、大切さを教える活動に力を入れている」、「海岸防災林は、飛砂防止、潮害防止は重要な役割だが、津波対策は防潮堤、海岸防災林、緑地帯などの多重防御が必要である」などの発言がありました。
限られた時間でありましたが、有用な意見をいただき、今後の海岸林再生活動に参考になるものでした。

17時20分に開会、終了は19時40分でしたが、最後まで大勢の方に傾聴していただき、主催側としては、有り難く思いつつシンポジウムを終えることできました。

また、国連防災世界会議関連事業として、せんだいメディアテーク5階で、3月14日(土)から18日(水)の5日間「防災の観点から考える海岸林再生」をテーマに、パネル展示と各種チラシの配布をしました。

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国連の会議とあって、外国からの見学者も多く来られました。インドネシアから参加した若者は、自国も津波被害に遭ったので、関心あるとのことで、盛土の理由を詳しく尋ねてきました。また、フランスから東北大大学院に留学している女性は、昨年荒浜で植樹をしたので、今年も一般参加のイベントあれば参加しますとのことで、早速関連のチラシを渡しました。

宮城県内からの多くの方が来場されましたが、震災後に海岸林植樹に参加したことがあるとか、実家が沿岸部にあるので海岸林の中で幼い頃遊んだとか、海岸林との関わりのある人が多いことに驚きました。
また、広葉樹植栽について関心の高い方もいて、忌憚ない意見交換もでき、有意義な場となりました。

他の出展ブースでは、狭いスペースに画像や実物等の展示資材で溢れかえっており、出展参加団体の意気込みも感じられ、活気ある会場の雰囲気でした。