レポート | 投稿日: 2015.03.23

3月4日(水)・5日(木) 宮城県で「海岸林再生」ワークショップ2015を開催しました。

国や県の盛土工事などが終了した箇所において、海岸防災林の再生に公募した団体などを対象に植栽現場における研修会と専門家による講話、参加団体の発表などを実施しました。

今年度は、宮城県及び福島県内の国有林の公募参加者に、宮城県及び福島県の公募に参加した団体も加わり、東北森林管理局、地元の森林管理署、岩手県及び宮城県緑化推進委員会、福島県森林・林業・緑化協会の関係者も参加していただきました。また、宮城県森林インストラクター協会などの協力を得て「海岸防災林再生活動の輪を広げていこう」をサブタイトルにして、参加団体の交流も重要な目的としました。

1日目 現地研修会

3月4日(水)12時に仙台駅に集合し、40名の参加者を乗せ出発しました。

荒浜の公募箇所

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平成24年度に公募した仙台市内の荒浜海岸の植栽地を、仙台森林管理署担当者の説明を受けながら見学をしました。この箇所は14団体がそれぞれ創意工夫して植栽しており、樹種、植栽木の大きさ、植栽方法など多種多様で参加者はその状況を観察しつつ、思い思いに参加者間で樹種の選定、植栽密度、植栽方法などについて意見交換をしていました。

名取市オイスカの現場

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その後名取市で100haの海岸林の復活を目指して奮闘しているオイスカの苗木育成箇所(苗畑)と植栽地を、オイスカ名取事務所の佐々木氏の案内で見学しました。名取市海岸林再生の会と連携して事業を進めています。苗畑では、貴重な松食い虫抵抗性マツの種子の発芽率を高める工夫、過度に伸びることを抑制して幹を太くする手法、植栽時の活着率をよくするための液剤の使用などの具体的な技術的な説明がありました。

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また植栽地においては、条件の厳しい箇所は森林組合のプロ集団にお願いし、市民参加の植樹は、土壌等の条件のよい箇所を選んで実施しているとのことでした。森林管理署が津波で破損したマツの倒木などを破砕しチップ化して植栽地に敷き詰めてくれたので、強風時にでも砂の飛散が防げ、植栽木の生育環境改善に大いに役立っている旨の説明がありました。なお見学時に急に風が強くなり、電線がうねり声をあげていましたが、佐々木氏の話ではこれは通常の風で強風とは言えないとのことでした。

2日目 ワークショップ

3月5日(木)午前中に、60名が参加してワークショップを開催しました。

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森林総合研究所の坂本先生からは「海岸林再生活動に参加している皆様に知っておいていただきたいお話」と題して、技術的講話がなされました。

この中で、海岸林は、飛砂防備の機能については森林内の砂などを安定させる機能が高いが、飛んできた砂を海岸林の先端で止めると、それが堆積し林縁部の木自ら砂に埋もれてしまうので、前砂丘に草本等の緑化措置が重要であること。

飛砂と言うが、実際は地表数十センチの範囲内を大半の砂が移動していること、そしてこの砂が植栽木の葉などを傷めるので、防風垣、静砂垣など飛砂対策が重要であること。

また、密度管理の大切さ、松食い虫被害を考慮すれば将来に向けての広葉樹等の育成等豊かな生態系が重要であることなど、海岸林に関する幅広い内容の講話でした。

東北森林管理局技術普及課長の青山氏からは、「NPO等による海岸防災林再生活動の状況について」と題して、国有林の公募の概要の説明がありました。また、植栽した海岸林に見られる病虫害の紹介もありました。

参加団体による発表

ゆりりん愛護会の大橋氏からは、「生きのこりの松・再生の記録」と題して、震災後残った松かさから採取した種子が京都の緑化センターで播種育苗され、苗木が里帰りして地元の苗畑に移植され、その後、学生などの協力を得て育成され、海岸に植栽したとのことでした。心温まる内容でした。

DCMホーマック株式会社の清田氏からは、「DCMホーマックの海岸林再生活動」と題して、北海道大学名誉教授の東先生が考案したカミネッコン(再生紙でできたポット)による海岸林植樹について幼稚園児などに参加してもらう取組など、様々な活動の紹介がありました。また、植樹活動は社員の参加を基本にしているとのコメントでした。

緑を守り育てる宮城県連絡会議の佐藤氏からは、荒浜で100名が参加し、鹿児島から届いた抵抗性マツの植樹式の開催報告がありました。

新たに公募し、千葉県から参加した とんぼエコオフィスの森山氏からは、行政機関、(財)日本環境協会、多数の学校等の連携による植樹活動の展開について説明がありました。

万里の松原に親しむ会の三沢氏からは、山形庄内の海岸林の保全活動、子供たちへの体験学習会などの取組の紹介がありました。また、震災の被害を見て、何が何でも応援したいとの思いがあって荒浜の公募に参加し、地元庄内から多くの仲間たちが来て荒浜の植樹に参加し、情報の共有にも心がけたとのことでした。

午後、開催された宮城県緑化推進委員会主催の「海岸防災林再生活動セミナー」への参加を呼びかけて閉会しました。

なお、参加者からこのワークショップについて、「今後の社内での啓発活動の素材とします。また、5月の植栽に向けての技術情報や人のつながりが得られました。」といった旨の意見が寄せられました。